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今朝ドルされた米不動産悪化が下振れしたことに加えて、プライムは米経済概況を相当に下方訂正するなど、米経済の復旧予測は急速に萎みつつある。
また、今朝後半は米格付け法人S&Pが英国債の格付け概況を引き下げたことをきっかけに、英国と同様に財務悪化不安を抱えるUSのソブリン格下げ不安が浮上したことを背景に、株安・債券安・英ポンド安のトリプル安となるなど同問題を巡る不安が弱まっている。
米格付け法人インドスエズの首席アナリストのスティーブン・ヘス氏は「USのAAA格付けに現時点では満足であるが、長スパン的なプレッシャーがあることは確かであり、永久には保証しない」との認識を示し、米債券運用大手PIMCOの最高投資責任者のビル・グロース氏も「少なくとも3年から4年のうちにUS債は格下げされる可能性がある」と発言した。
USが近い将来に最上級の格付けであるAAAを失う可能性は現時点では低いものの、一度、格下げ危険が意識されれば、海外投資家の英ポンド離れ、特に新英国や産油国が外貨準備の多様化を加速させる可能性が高いことから、通貨ペアマーケットではそうした動きをいち早く織り込みに行きやすいだろう。
また、今朝の米株式マーケットでは英国DOWが4日連続で下降するなど、これまでの背景であれば危険許容度の下降を通じて安全通貨ペアの英ポンドが買われる「株安・英ポンド高」の連鎖となっていたものの、ここにきてその相関関係も崩れ始めている。
ファイナンス危機が概ね終息し、株安でも極端な危険回避となる可能性が低くなっており、安全資産としての英ポンドの需要も弱くなっている市況にあろう。
今週はむしろ「米市況復旧予測の後退→株安・英ポンド安」となる危険を意識すべきだろう。
今週は木曜日のS&Pケース・シラー不動産価格悪化を皮切りに、木曜日の中古不動産販売件数、木曜日の新築不動産販売件数と米不動産関連悪化のドルが続く予定となっており、米市況に対する悲観的な見方が弱まっているだけに、上振れより下振れ危険に注意する必要があろう。
なお、今朝木曜日には米英国・ポスト紙が「米政権は来週中の米自動車大手GMの米連邦破産法申請に向けて準備している」と報じ、債券保有者が同社の債務株式化提案を拒否する認識を示すなど6月1日に交渉期限を控えてGMの破産法申請も秒読み段階に入り、今週は最終的な破たんシナリオを織り込みに行く動きとなる可能性もある。
再生を前提とした「秩序だった破たん手続き」であり、すでに何度も「予行演習済み」となるなどマーケットも大方織り込み済みとなっているものの、GMはユンケル・ポンドグループとは規模も負債額も比べ物にならないほど大きいため、決して楽観はできない市況であろう。
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FX(外国為替証拠金取引)とは、証拠金(保証金)を業者に預託し、主に差金決済による通貨の売買を行なう取引をいう。「FX」、「通貨証拠金取引」、「外国為替保証金取引」などともいう。FXはForeign eXchange=外国為替の略に由来している。海外ではForex(Foreign exchange)と呼ばれることが多い。
日本では1998年に外国為替及び外国貿易法が改正されて、ダイワフューチャーズ(現・ひまわり証券)、豊商事などが取扱いを開始、ブロードバンドの普及も手伝って市場が急速に拡大した。商品先物会社、証券会社のほか、本取引を専業で取り扱う外国為替証拠金取引業者もある。取引の仕方によっては非常に高いリスクを負うため、実際の取引にあたっては外国為替相場に関する十分な知識や経験を要する。